今日の1曲

古い曲に偏りますが1曲チョイスして綴ります。

「あきれた刑事」が好き

前回に続き昭和の刑事ドラマネタですが、この「あきれた刑事」はタイトルから想像できると思いますが、映画で30年続いた「あぶない刑事」の後番組(放送時間帯は違いますが…)になります。

 

その「あぶ刑事」より、個人的には一瞬で終わってしまったこちらの後発番組の方が好きだったので、個人的な思いを綴るだけの記事です。

 

あきれた刑事は1987年10月21日~1988年3月23日にて全22回、日本テレビ系で放映された刑事ドラマです。

 

前番組があの「あぶない刑事」で、1986年10月より放送された訳ですが、当初半年の予定が段々と人気沸騰していき、結果的に1年間の放送となり、その余勢をかって?の登場と思われましたが、それまで放送されていた日曜21時からの放送枠から水曜20時からへと枠移動され、ここがひとつのつまづきま遠因かな、と勝手に思っています。

それまで刑事ドラマ枠で放送されていた枠で見る方が視聴者として馴染めると思い、それまで刑事ドラマを枠やっていなかった枠で見るのがまず当時として違和感あったかも、特にこの昭和時代においては。

 

あぶない刑事が舘ひろし柴田恭兵コンビであったのに対して、続くこの番組はどんなコンビでくるのか??当時はスピンオフ系も少なからず、こんな楽しみがよくあったものでしたが、時任三郎、永島敏行という少し若い世代のコンビにて登場となりました。

 

当時大ヒットした「あぶ刑事」の後番組とあって、このようにV雑誌でも、表紙で大々的に取り上げられていました。

 

時任三郎さんは、この数年前に髪を短くしていましたが、ここまで刈り込んで髪をツンツンに立てて、というのはなかったので、まずこの髪型がインパクト大でした。

 

永島敏行さんはそれまで角刈りのイメージが勝手にあったのですが、オールバックの角刈りがチヨット伸びたような髪型で、それまでのイメージにほぼ近い感じでした。

 

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▼番宣のカット写真ですが、ビシッとキメてたあぶ刑事に対して、こちらはかなりふざけた要素が出ていました。

 

レギュラーキャストは以下の通りです。

 

時任三郎

 ◆

関根 勤

 ◆

河合美智子

網浜直子

ちびっこギャング

 ◆

小林稔

 ◆

永島敏行

 

当初の番組改編期のキャスト紹介を見て「時任三郎、永島敏行…」とあり、あぶない刑事のキャスト基準で「今度はこの2人が刑事役か!」と思ったものですが、上記のキャスティングで実際刑事役なのは主演の時任三郎さんとその上司役の小林稔侍さんだけ です。

 

ということは、

ここにデカデカと出ている永島敏行さんは刑事役ではない、のです。

「〇〇刑事」のタイトルのコンビもので、主役コンビの片方が刑事役でないというのが型破りでした。

 

ここでの永島さんの役どころは、時任さん演じる刑事に金で雇われる助っ人で「謎の素性の男」です。時任さんも普通の刑事ではなく、刑事の身分を隠した「潜入刑事」です。こういう型破りな設定があぶ刑事からのファンを困惑させてしまった部分かもしれませんが、個人的にはこの設定にはそれなりに馴染めました。

 

毎回の基本フォーマットは、警視庁でもその存在を極秘とされている「特殊強行犯捜査課」の藤田課長(小林稔侍さん)からの指令を受けて、その部下の内海刑事(時任さん)が潜入捜査を行い、都度ギャラを渡される方式で、内海は相棒の黒木(永島さん)や、普段の住家の仲間たち(関根さん、河合さん、網浜さん、松井さん等)を助っ人に使って捜査し、最後のアクションは内海と黒木で犯人と相対して、警察が駆けつける頃には2人は去っていく、という流れです。

 

警察外で内海が刑事である事を知っているのは黒木だけで、他の仲間たちには刑事の身分を隠して「探偵」という事で捜査を手伝わせています(中盤で刑事の身分がバレますが…)

また「民間人」である黒木の過去を知るのも内海だけで、2人は以前からの知り合いであるよう(特にハッキリした過去描写はありませんが…)で、黒木は「ヤクザの上前をはねて生きる男」とか、自分自身で「ヤクザ」と言っていたり、特定の組には属していないものの、その世界と関わりを持って生きてきた一匹狼というところでしょうか。

 

それまでの永島さんというと勝手に「生真面目」「実直」「体育会系」みたいなイメージを持っていましたが、ここではそのイメージを一新したちょっとフザけた要素も強く、あぶ刑事の要素を引き継いだ「オシャレな会話」の部分を担ってもいます。硬派で腕っぷしが強い、という要素はそれまで通りですが。そんな会話のひとつが以下のものです。それまでの永島さんからは考えられない役柄、と個人的に感じたものでした。

 (犯人との銃撃戦の最中に)

 黒木(永島)「今回のギャラは?」

 内海(時任)「25!」

 黒木「俺の歳は?」

 内海「33!」

 黒木「よーし、それで手を打とう!」

 内海「おまえなぁ…」

 

あとキャストで当時驚いたのが関根勤??」でした。当初は関根さんがドラマ出演??と思っていましたが、それまでも連ドラのゲストを主にちょくちょく出演していたようで、ただ1時間の連ドラはほぼ初だったのではないかと思います。で、新番組キャスト紹介で最初の方にあったので、やはりあぶ刑事基準で関根勤が刑事役??」と思ったのですが、実際は全然違う役で、内海と同じアパートの住人で零細芸能プロダクションの社長役です。所属タレントを抱えていますが、ギャラをピンハネしたりの金にがめつい男をコミカルに演じ、よくモノマネを披露し、半分関根勤の地じゃないかという感じの役どころでした。

 

課長役の小林稔侍さんは途中で一時離脱し、新課長として吉田日出子さんが登場しますが、このタイミングで、内海は警部補に昇進、警視庁勤務と普通の刑事っぽく設定変更されます。

これは当初設定がかなり異色で、あぶ刑事からのファンを離してしまい、軌道修正による番組テコ入れを図ったものと思いますが、視聴率が振るわず結局半年で予定通り終了しています。

小林さんは終盤に再度復帰(吉田さんは代打だった?)しています。 後年「あぶない刑事リターンズ」として、あぶ刑事が7年ぶりにスクリーン復活した時に、課長役の中条静夫さんが既にお亡くなりになっていて、新課長役として小林さんが登場したのは、この時の縁かも?と勝手に思っています。

 

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▼これは初回のカットから。

 

内海は刑事である身分を隠しているので、拳銃は普段携帯せず、靴底に分解して隠しており、戦闘時に組み立てて拳銃を使用しています。なので銃身は極少でオモチャみたいでした。

 

ちなみにこの初回は番宣もそうですが、ゲストのキャスティングもかなり力入ってて、安岡力也さんをはじめ悪役が多数出演し、またあぶ刑事からも仲村トオルさんが1シーンだけ、ビーバップハイスクールのような役どころで映画を撮っている役者の役で出ていました。 そんな甲斐あってか?初回の視聴率はなかなか良かったようです。

 

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 ▼これは最終回のカットで、車内に仕掛けられた爆弾が爆発する寸前に、2人で動く車から飛び出して脱出した直後だったと思います。

 

時任さんが後年「リゲイン」で大ヒットを飛ばしますが、このCMを始めたのはこの時期からで、髪型もこの時のものでした。

 

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▼課長から指令を受ける内海。

 

大体が最初は潜入捜査を進めているシーンから始まり、その後回想的にこの「課長からの指令」シーンが入る感じでした。この頃の小林さんはNHK連続テレビ小説「はね駒」のヒットでようやく全国区になった、という時期で、色んなドラマにレギュラーで出るようになっていた時期でした。悪役が長かったですが、そんな事を微塵も感じさせないのがこのドラマでの役どころで、一見くそまじめでケチですが、コミカルな面もあり、ギャラupの要請には結局は応え、人情もある良い役柄でした。

 

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▼あぶない刑事は2人で並んで拳銃を撃つシーンが予告やオープニングで使われていましたが、あきれた刑事はまずオープニングがなく、レギュラー紹介はエンディングの流れるキャスト紹介だけ(あぶ刑事でいうエンイディングだけ)で済まされており、ここは正直残念と思う部分でした。また次回予告の冒頭は2人してビンタされてフザけた顔で並ぶというもので、これもあぶ刑事との差別化だったのでしょうか。

 

なのでこういうカットはあまりありませんが、こういうのはあっても良かったのかな、という気がしました。(これだけ見ると永島さんの方が刑事?という感じがしますが、実際の役柄は真逆です)

 

時任さんは初期はこんなダボッとしたブルゾンスタイルでしたが、後にスーツスタイルへ変化していきます。

永島さんは182cmと長身なのですが、時任さんが当時芸能界きっての長身(188cm)であったので、ずいぶん低く見えてしまいます。

 

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▼エンディングの一コマです。

 

あぶ刑事は2人が走りながら時にポージングするのをフィルムでまわしている感じのものでしたが、こちらはいろんなシーンを全画面で撮ったものとなっていました。

シャンパンで乾杯した後フェンシングやっていたり、永島さんが自転車で走って、ヒモで繋いで後ろから時任さんがスケボーで引っ張られていたり、時任さんがパンを食べながら、ト音記号みたいなストローでジュースを飲みながら、たばこを吸いながらむせていたり(笑)、とにかく色々でした。

 

DVD化されないのが残念で仕方ないのですが、洋楽をバックに流してBGMにする手法をとっていたせいか、その権利関係かでDVD化は困難なのかもしれません。

 

異色すぎた故視聴率的には失敗に終わったのかもしれませんが、続編作ってほしかったな…とよく思います(笑)

 

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