今日の1曲

古い曲に偏りますが1曲チョイスして綴ります。

今日の1曲 (33)赤と黒/岩崎良美(1980)

まだまだ寒いと言いながらPCに向かっている「今日の1曲」。

 

今日はこの曲!

 

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作詞:なかにし礼/作曲:芳野藤丸

発売:1980年2月21日

売上:11.6万枚(オリコン最高19位)

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1980(昭和55)年2月に発売された岩崎良美さんのデビューシングルです。

 

岩崎良美さんは、有名な岩崎宏美さんの妹で、姉と同じ歌手の道を歩み、この曲でデビューしますが、デビュー同期は松田聖子河合奈保子柏原芳恵、といった布陣で、男性はたのきんトリオで、アイドル大豊作の「80年デビュー組」ですが、その中では売れ行き的にはちょっと後れを取ってしまったかな、というところでした。

 

それでもこの曲はオリコン最高19位まで駆け上がり、売上も10万枚を少し超え、滑り出しは上々で、「さすが岩崎宏美の妹」という周りの見方もあったのかな、と感じます。お姉さんとはちょっとまた違った歌い方ですが…

 

しかしこの曲は楽曲としての完成度が高すぎると思いました。なかにし礼さんの作詞にSHOGUN芳野藤丸さんの作曲って異色すぎますが、そのタッグで生まれた今どきの?80年代の幕開けらしいサウンドに、彼女自身のデビューから完成されたような高レベルの歌唱で、これがアイドル歌手のデビュー曲か?と思わせるほどでした。

 

♪うしみつ時のあなたの合図 ってすごいフレーズですね、これまたアイドルのデビュー曲かいなと。彼女が歌っていてそんな思いませんでしたが、歌詞を眺めてると、女の子の部屋を訪ねてきた男が、部屋の2階からロープを垂らされてよじ登って彼女の部屋に入って、ひと晩過ごすと去っていく、みたいな。その間なにをしてたかは置いといて(笑)

 

そして、赤と黒みたいな恋をしています と何回も出てくる訳です。お姉さんのデビュー曲は「二重奏(デュエット)」という実に疾走感に溢れた名曲ですが、妹は嫌に重苦しい曲を歌わされていたんだなと今頃感じました。全然関係ありませんが、この同じ年に長渕剛さんが出したアルバム「乾杯」の中に「白と黒」という曲がありました。

 

お姉さんは切れ長目のきりっとした美人なのに対して、ヨシリンと呼ばれた彼女は愛くるしいパチッとした目が印象的で、自分など当時小学生で、姉妹というより別々の人として見ていましたが、ヨシリンはずっと姉・岩崎宏美という存在が自分にとって呪縛だったといっていたのをどこかで見た事がありました。何かとお姉さんと比べられたんだと思いますが、他のアイドルに比べて余分に背負ったものがあったのかな、と思います。

 

上々の滑り出しだったヨシリンのシングル曲は、最初の1年に出した4作はいずれも10万枚越えで、2曲目の「涼風」は15万枚を越える順調さが続きましたが、2年目の1981(昭和56)年に入ると、急激に枚数を下げ、10万枚を越える事がほぼなくなりました。

 

個人的に彼女の楽曲として初めて知ったのが1981年の7曲目「ごめんねDarling」で最高41位、5.6万枚でした。とってもかわいらしい曲でヤンヤン歌うスタジオで歌っているのを見た覚えがありますが、彼女のシングルでオリコン最高一ケタ順位の曲は1曲もなく、ザ・ベストテンのようなランキング番組で彼女を見る事が遂になかったのが残念でした。

 

最も売れたのが有名な「タッチ」(1985年)で最高12位、24.7万枚で、最高順位は次の曲「チェッ!チェッ!チェッ!」の最高10位でした。初期は最高10何位という曲が少しありましたが、その後は20位台、40位台など多く、お姉さんほどには売れず、後から懐メロで歌うのも「タッチ」ばかりで、「タッチの一発屋」とか、しまいには「アニメ歌手」とまで評される向きもあり、さすがに違うだろ…としか思えませんでしたが…。

 

確かに「タッチ」をはじめとする同番組の主題歌が、立て続けにそこそこ売れてしまったので、そういう向きもありますが、最初の一年間の楽曲もタッチほどではないにしろ、後発の主題歌群並みには売れていた訳です。

 

お姉さんは例外ですが、この時期の「歌のうますぎる歌手は売れない」というジンクスみたいなものにハマった一人だと思います。正直歌はやはりうまいと思います。お姉さんを基準にすると違うと思いますが、絶対的にうまいと思いました。このヨシリンに香坂みゆきさんに、倉田まり子さん、石川ひとみさん(「まちぶせ」は売れましたが…)、など歌のうまい歌手はTVやメディアに出ているほどには、レコードセールス的には売れず、苦戦している感がありました。事務所とかキャラクターとかあるのですかね。

 

とにかくデビューから完成された歌唱を誇っていた岩崎良美さん、この人の楽曲はもっと再評価されて良いと思います。