記事を書き続けて節目の300回目となる「今日の1曲」。
今日はこの曲!
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作詞/阿木燿子:作曲:宇崎竜童
発売:1978(昭和53)年5月1日 (当時19歳)
売上:50.8万枚(オリコン最高2位) ※1978年度 年間5位
1978(昭和53)年5月に発売された山口百恵さん22枚目のシングル曲です。
●1978年度年間売上5位
オリコン最高は2位に終わりましたが、50.8万枚を売上げ1978年度のオリコン年間シングル売上の5位を記録する大ヒット曲になりました。
百恵さんのシングルでも自身5位の売上となり、イコール50万以上を売上げたのが5曲でもあります。この年には2作後に「いい日旅立ち」をリリースし53.6万枚を売上げ、年間で50万枚以上売上を2曲も出しています。
ただし「いい日旅立ち」は78年11月の発売で、売上が78年と79年に分散しており79年の年間20位に記録されているのみとなりました。
オリコン1位曲は意外と少なく4曲のみで「夢先案内人」(1977.4.1発売。最高1位。44.7万枚)を最後に出ておらず、他には「冬の色」「横須賀ストーリー」「パールカラーにゆれて」ですが、この曲や「いい日旅立ち」のよなう彼女の代表的な他の曲は意外にも1位を記録していません。
●作家陣
百恵さんの楽曲の世界観を固めたともいわれる阿木燿子さん作詞、宇崎竜童さん作曲です。この2年前に「横須賀ストーリー」でこの夫妻のコンビによるシングルが初めてリリースされて以来、間に他者作のシングルを挟みつつ断続的にこのコンビによるシングルが発売されましたが、最初からロックのテイストを感じられる楽曲はこの曲が初めてだったように思います。
そして次の「絶体絶命」はもっと明確なロック路線が感じられ、引退する年の「ロックンロール・ウィドウ」ではタイトルも含めロック全開になります。
●詞と曲・サウンド
イントロから「ロックだ」という感じで、10代のアイドルの楽曲とは思えないもので、なんならそのまま竜童さんの当時やっていたダウン・タウン・ブギウギバンドの楽曲だといっても否定しないくらいにはロックなものだったと感じました。
歌詞では
♪一人旅なの 私気ままにハンドル切るの
という歌詞に、当時まだ一般的でなかった女性が車を運転する、などの女性の自己主張が強く表れている事を感じます。
「真っ赤なポルシェ」のフレーズには、当時のスーパーカーブームの反映もあるのでしょうか?? 「ポルシェ」というのが特定の商品である事から、そのまま歌う事が制限され、「クルマ」に差し替えて歌われた事もあったといいます。
なんといっても
♪バカにしない~でよ~
のフレーズが印象的です。女性の強い主張の表れですね。当時まだ男女雇用機会均等法もなかった頃です。
当時小学校の低学年でしたが、学校で流行ったものです。歌詞の意味やその他の部分は知らなくても、この部分と
♪ちょっと待って プレイバック プレイバック
は子どもの脳にもすぐに飛び込んできました。
プレイバックという言葉の意味すら知りませんでしたが、子供にとっては全然どうでもいい訳で、言葉が脳内に刷り込まれるや、そのフレーズを多用していたものでした。
当時のドラマでは、聞き捨てならない事を言われた時に「今の言葉プレイバック!」というシーンがあったりして、このフレーズの影響度が窺えるというものでした。
このプレイバック!と歌った後に、少しの無音時間がありますが、当時のテレビではこういう演出は珍しかったようで、歌い終りと勘違いされないようにテレビ局は色々と対応をしたといいます。
百恵さんの曲では、演出的な部分に話題が上がる事が度々あり、この翌年に発売された「美・サイレント」では、口だけ動かして歌唱しない部分があったり「あれは実際何と言ってるのか?」と話題になったのをリアルで記憶があります。
●Part1もある
プレイバック「Part2」という楽曲ですが、元々そういう名前の曲だと思っていたので、「Part1があるのか?」という事をこの記事を書くまで思いもしませんでしたが、調べてみたら…
ありました!
「プレイバックPart1」という楽曲が実在し、このシングルが発売された翌月に発売されたベストアルバムに収録されていますが、そのアルバムタイトルも「THE BESTプレイバック」というもので、ここでは竜童さんの作曲ではなく馬飼野康二さんの作曲によるものとなっていて、また歌詞も阿木さんのものではありますが全然違ったものとなっています。
元の経緯が、阿木さんの詞に対して、竜童さんと馬飼野さんの2パターンが作成され、竜童さんの方が採用されますが、製作側が作り直しを求めた為、阿木さんの詞も作り直してディレクターへ渡しプレスしたという事で、そのやり直しという意味も込めてタイトルに「Part2」がついたとされたといわれています。
「プレイバックPart1」については、そんなロックな曲ではなく、ポップ路線寄りでプロの作曲家が作ったいかにも「枠内の」曲という感じで、また歌詞も強い女性が主人公ではなく、年頃の女性が泣いたり背伸びしたり、という当時の一般的な女性の感情を歌ったような、割に「普通な感じ」のものです。
そりゃPart2の方が全然「枠外」だしインパクトが全然違うな、という感じでした。
この記事を書かなければ、多分このPart1の存在を知らずにいたと思うので、こうして調べて書いてみる事って、温故知新あるものだなとつくづく感じました。
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