3月末、ようやくそして急激に暖かくなった「今日の1曲」。
今日はこの曲!
↓音源はコチラ↓
作詞:山口洋子/作曲:平尾昌晃
発売:1974(昭和49)年1月25日 (当時27歳)
売上:154.1万枚(オリコン最高1位) 1974年度年間3位 オリコン歴代シングル82位
1974(昭和49)年1月に発売された、中条きよしさんのデビューシングルです。
●3度目の改名の末
中条きよしさんのデビューシングル、と書きましたが当時27歳で、28歳を迎える直前でした。
五木ひろしさんなどもそうですが、度重なる改名の末に再デビューしてようやく「当たった」となるケースが極まれにあり、中条さんもこのケースでした。
最初のデビューが1968(昭和43)年10月というので22歳の時でした。最初の名前で2曲、次の名前で1曲、シングルリリースをするも結果が出ず、2度の改名を経て中条きよし名義で出した最初のシングル曲でした。
●大ヒット曲へ
2度の改名を経ての再々デビューという状況、おそらくこれでダメなら…の思いもあったかと思いますが、これが発売して3ヶ月も経つとオリコンTOP10にまで顔を出すようになりました。
当時は今みたいに発売、即ランクインして翌週には消えるみたいな形ではなく、もっとじわじわと売れていき、長くレコードが買われ、有線などでかかっていたので、今とは全然違いますが、TOP10入りしてから6週ほどで遂に「オリコン1位」に輝き、しかも「8週連続1位」の座に君臨し続けていました。
五木ひろしさんの「よこはま・たそがれ」のように、改名を経ての苦節何年…で見事に花開いた訳ですね。
そんな大ヒット曲となりましたが、それでも1974年度では年間3位でした。まだ上が2つもあるとは…というところで、当時のヒット曲の凄さが窺えます。
累計売上枚数は154.1万枚とされ、既に半世紀以上の歴史を誇るオリコン全体でも「82位」の売上記録を持つ大ヒット曲となっています。
●作家陣
作詞は山口洋子さん、作曲は平尾昌晃さんです。
これは前述「よこはま・たそがれ」と同じコンビで、いわば演歌界の再生工場的なものとも感じました。これらの曲だけでなく、このコンビはこの時代実に多くの曲を生み出した黄金コンビな訳です。
●詞
♪折れた煙草の吸いがらで あなたの嘘が分かるのよ
といきなり、何が起こっているのか分かる描写が素晴らしいですし、これを中条さんのような方が歌うのがまたハマってると感じました。
この曲の詞は実話に基づいてのものだそうで、山口さんの経営する店のホステスが彼氏の家に行ったら、口紅の付いたたばこの吸い殻があったといいます。そこから、男に「うそ」をつかれた女の心理を巧みに歌詞に表現しています。
この男は悪人要素が感じられず、でも本気では愛してくれず、あくまで「優しい嘘」をつき続けながら、愛してくれる(フリをしている?)そんな男のようで、これが憎めない要素である事も感じます。
●曲
複数の記事に見られましたが、当初平尾さんは中条さんのホストっぽい雰囲気に正直乗り気ではなかったそうですが、彼とマネージャーが何度も頼みに来て、実際会ってみて感じの良い人と受け取り、曲づくりを承知したといいます。
この時平尾さんは麻雀をやっていて、自分が外れて仲間4人が麻雀をやっているうちに、山口さんから受取った詞に曲をつけてわずか1時間半でできあがったという「うそ」みたいな早さだった、といいます。
よくいわれるのが、演歌なのに音符が真っ黒で16分音符が多用されているという点です。最初はいかにも演歌らしいメロディーに節回しですが、サビになると早口になったり、1小節に歌う語数?が多くなってて、初めて聴いた時少々違和感がありました。
ただの演歌ではなく、ちょっとポップスっぽい要素を入れてみた、という感じなのでしょうか?サビの部分の音を聴いてると、チキチキチキチキ…と8ビート?のタンバリンのような音がさりげなく入っていました。
平尾さんといえば「必殺」シリーズの劇伴音楽の生みの親であり、独特の殺しのテーマ曲は。その前奏があまりに有名ですが、このシリーズに中条さんがレギュラー入りして役者としてブレイクするのも妙な縁を感じます。
●歌手・中条きよしのその後
中条きよしさんはこの大ヒットの後はしばらく歌手として活動しますが、デビュー曲があまりに売れすぎてしまい、そのイメージが強すぎになってしまったのか、後発の曲が売れなくなっていきました。
また元々が役者志望であった事から、1970年代末期にTVの「必殺」シリーズで悪役などのゲスト出演を経て、1981(昭和56)年に「新・必殺仕事人」にて「三味線屋の勇次」として、華麗な殺し技を披露し、またその色男ぶりも相まって役者としてたちまちに人気者となりました。
必殺仕事人としては3作出演後、独立の形で1984(昭和59)年「必殺仕切人」で同じ三味線屋の勇次役で実質的な主演(クレジット上の主演は京マチ子さん)を果たします。勇次は彼の大当たり役となり、1990年代末期も自身の主演映画として「必殺・三味線屋の勇次」にて50歳を越えるまで演じ続ける事となりました。
最近の人はある曲やある役のイメージが強くなりすぎるのを嫌いますが、歌手として、そして俳優として、それぞれ大きな「当たり」を掴んだ中条さんの足跡は見事だと思います。後のVシネマの重鎮役などもありますが…
その後国政に参戦してビックリでしたが、現在78歳これからもご活躍を祈念しています。
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