今日の1曲

古い曲に偏りますが1曲チョイスして綴ります。

今日の1曲 (25)甘い暴力/クールス(1976)

年が明けたと思ったらもう20日も経っていた「今日の1曲」。

 

今回はこの曲!

 

www.kget.jp

作詞:たちひろし/作曲:ジェームス藤木 

発売:1976年2月

売上:不明(オリコンチャートインなし)

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1976(昭和51)年2月に発売されたクールス2枚目のシングル曲です。

クールス1975(昭和50)年デビューし、その後45年以上を経た今でもなお活動を続けている「日本でいちばん歴史あるロックバンド」といっても過言ではない重鎮的存在です。

 

作詞「たちひろし」とありますが、紛れもなくあの舘ひろし氏です。

このジャケットのセンターでグラサンかけて親指立てて「イイネ!」ポーズでキメてるのも紛れもなくあの「舘ひろし」氏です。

 

そもそもクールスとは「原宿とバイクをこよなく愛するバイクチーム」であり、舘ひろし氏と岩城滉一氏の出会いが端緒となり結成されたチームで、今は二人ともグループに関わっていませんが、結成にこの二人が絡んでいる事自体がすごいグループですよね。その後、彼らとは接点はありませんが、途中であのクレイジーケンバンドの「横山剣」氏も途中加入する事となります。

 

岩城氏は早々に俳優への道が決まっていた為、バンドには入らない事になりますが、バイクチームの「ボス」であった舘氏は音楽プロデューサーの熱烈な説得の下、「メンバーを食わせていくために」バンドとしてデビューする事となり、それまでほとんど未経験であった仲間と共に、ロックバンドとして船出をする事となります。

 

彼らクールスは舘氏を始めとした「鉄の結束」で、すべてはボス(舘氏)の独裁の下で…という感じの書面に血判署名したといわれる、ちょっと任侠入ってる感じですが、舘氏はボスとか大将とか言われていたようです。

そんな彼らは矢沢永吉氏率いる「キャロル」の解散ライブに親衛隊的に参加し、その解散ビデオの中ではクールスの面々がバイク飛ばしながらキャロルを語っていたり、矢沢氏が「ひろしくん」といって舘氏を紹介するシーンもありました。

そんな事もあり、クールスはキャロルの弟分的バンドだとか、舘ひろし永ちゃんの弟分だ、などと言われたようですが、これらは違うようで、あくまで「対等な関係」のようです。

 

そんな「ボス」舘ひろしのもとに、キャロルと入れ替わるようにデビューしたクールスでしたが、リーダー・舘ひろし時代はわずか1年半ほどで終わってしまいました。シングルも3曲のみ、この記事タイトルの「甘い暴力」はその2曲目になります。

舘氏の独裁体制にメディアも「舘ひろしとクールス」的な取り上げ方で、映画のキャスティングもそんな感じで、舘氏ばかりフィーチャーされる状況に、一部メンバーが出演ボイコットするなど亀裂が生じだし、遂には舘ひろし脱退という事態となります。

 

この曲はとにかく舘氏が早口でまくし立てる勢いのあるナンバーで、後のムーディーな歌唱をする舘氏のイメージからはおよそかけ離れた「ロケンロー」な感じの舘氏の歌唱が聴けるナンバーな訳です。

 

舘氏の居た頃のクールスは、不良性をウリにしたグループとして映画にも出演し、舘氏自身は松田優作氏とタイマン勝負するシーンで熱演した「暴力教室」などの作品を残しています。しかしバンドのレコードセールス的にはデビュー曲「紫のハイウェイ」がオリコン100位ちょうどにランクインするのがやっとで、続くこの「甘い暴力」以降チャートインする事なく3曲のリリースで舘氏脱退となりました。

 

しかし改めて聴くと数年後にビッグになった、舘ひろしの若きスピーディーな歌唱を楽しめるレア作という事になり、それは貴重な作品となった訳です。