2023年も後半に入ったと思ったら、もはや中旬が見えてきた「今日の1曲」。
今日はこの曲!
↓音源(ライブ)はコチラ↓
発売:1970(昭和45)年11月20日 (沢田研二:当時22歳)
売上:5.7万枚(オリコン最高18位)
1970(昭和45)年11月に発売されたザ・タイガースの最初の解散前ラストシングルです。
●まさかのラストシングル
このシングルの発売後にタイガースは解散を発表したので、結果として最初の解散前のラストシングルになったそうで、この翌月にリリースされたアルバム「自由と憧れと友情」の先行シングルとして発売されています。解散はその翌月の1971(昭和46)年1月だったといいいます。
10年後に再結成をしたので、結果的にこの曲がラストシングルにはならなかった、という「結果的に」色々左右された楽曲!?でした
●GSブーム後の曲
GS(グループサウンズ)として、「ザ・○○」とデビューしたバンドは1967(昭和42)~1968(昭和43)年にかけて爆発的に増えて一大ムーブメントになりましたが、1969(昭和44)年になると退潮し、その頃には解散するバンドも多数あり、またこれ以降新規デビューするバンドも激減し、という形で急速にブームは衰退していきました。
この曲が出たのは、そのブームが完全に終息したといってよい1970(昭和45)年。まるで「なかったこと」であったように世の中は変わり、この時点で生き残っていたバンドは、ザ・スパイダース(堺正章・井上順・かまやつひろし氏在籍)やザ・テンプターズ(萩原健一・井上堯之・大野克夫氏在籍)、ブルーコメッツ(井上忠夫・三原綱木氏在籍)やワイルドワンズ、ゴールデンカップスやモップス(鈴木ヒロミツ氏在籍)など、ごく一部のメジャーバンドのみでした。
●売上
1970年代まで生き残ったタイガースでしたが、かつてのような爆発的な人気は続かず、それまでの人気の貯金を維持していたような感じで、セールス的には健闘しながらも右肩下がりの状況であり、世は歌謡曲主体の時代になっていました。
この曲はオリコン最高18位で、5.7万枚の売上でした。解散までオリコンで10位台に踏みとどまったのは立派でしたが、前作までは10万枚以上売れていたのが、この曲では遂に10万枚を割り込んでいました。
逆にGSで70年代に10万枚以上売っていたと見ると、凄いことだと思います。
●歌詞
結果的に解散前ラストの曲になりましたが、歌詞を見てると「解散するだろ」としか思えないものでした。
最初が♪明日に向かって いつでも行くのさ~
で始まりますし、
♪また 新しい夜明け 迎えに行こう
♪みな 明日の日めざし 旅を続ける
♪ただ 前だけ向いて 行くよ
などなど、挙げるとキリがありませんが、どっからどう見ても卒業ソングです
ひと通り歌い終わったあとは、♪tu~tututu~ とジュリーのリフレインになりますが、静かにフェイドアウトするように去っていく情景が目に浮かびます。
そういえばこの曲の前のシングルは「素晴らしい旅行」(1970年7月発売。最高15位。13.4万枚)という曲で、これもまた「旅」がモチーフになっており、「旅立つ」=解散を暗示していたのでしょうか。
●サウンド
GSのカケラもない、ほのぼのとしたサウンドです。GS時代なんてはるか遠い昔…そんな風にも思えました。
なにか遠くから歌っているような、ちょっとエコーの入ったような歌が印象的で、面と向かってサヨナラと言われるのではなく、画面越しにサヨナラと言われているような感がありました。
●作家陣
作詞は山上路夫氏で、昭和40~50年代にかけてのヒットメーカーです。タイガースメンバーの作詞ではないので、偶々そういう歌詞になったのか分かりませんが、卒業ソングとしか思えなかった曲の作詞者です。
作曲はクニ河内氏で、バンドでもソロ歌手でも活動したミュージシャンで、タイガースの楽曲では、この曲含め末期に2曲手掛けています。ちなみにチト河内氏は弟さんです。
70年代の到来、GSブームは既に退潮し、一部の生き残りバンドも次々解散していく状況、そんな時代の変わり目に出たタイガース解散前のシングル曲でした。
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