今日の1曲

古い曲に偏りますが1曲チョイスして綴ります。

今日の1曲 (201)恋のサマー・ガール/渋谷哲平(1980)

お盆休みに突入した「今日の1曲」。

 

今日はこの曲!

 

この曲は…歌詞をネットで検索しても、なかなか探すことができない為、実際に自分が所有しているレコードジャケットの裏面にある「歌詞カード」を直貼りします。

保存状態が良くない事と、B面の曲の歌詞も一緒に入っている事につき御容赦願います。しかしこれほど歌詞がネットに載っていないとは思ってもみませんでした。。

当時のレコードならではですが、楽譜が載っていたり、イントロや間奏などのパートの時間数割付が書いてあったり、なかなか貴重な「資料」がここにはありました。

 

 

音源もなかなか見つけられず、この動画の3:42~一部のみ、この曲を歌唱しているシーンがありましたので、今回はこれを貼ります。


www.youtube.com

作詞/作曲:茂村泰彦

発売:1980(昭和55)年7月1日 (当時平均19歳)

売上:不明(オリコンチャートインなし) 

1980(昭和55)年7月に発売された渋谷哲平さん11枚目のシングル曲です。

 

●新・新御三家候補

野口五郎さん、郷ひろみさん、西城秀樹さんといった面々が新御三家として、1970年代初頭から男性アイドルシーンをけん引してきましたが、昭和50年代に入ると彼らは20代に突入し、アイドル路線からの転換を迫られる一方で、新しい世代のアイドルたちが求められた時代でもありました。

そんな1977(昭和52)~1978(昭和53)年頃に現れたのが、太川陽介さん、川﨑麻世さん、そして今回取り上げる渋谷哲平さんという面々で、彼らは「新・新御三家」と称されることもありました。(実際、そこまで確立しませんでしたが…)

彼らはポスト新御三家として、TV番組に頻繁に登場し、お茶の間の人気も得ていましたが、楽曲の商業的側面からみると新御三家に遠く及びませんでした。早い話、曲があまり売れなかったのです。この当時は人気と楽曲のセールスが結びついておらず、アイドルではごく限られた面々だけがTOP10ヒットを連発するような状況で、女性では榊原郁恵さんや石野真子さんなどのトップアイドルと呼ばれた人気者ですら、オリコンTOP10は皆無の状況でした。彼女たちも先にデビューしていた「中三トリオ」の壁に阻まれた格好で、単純にデビューした時期が悪かっただけ、という感じでした。

 

彼らは新御三家を追ってるようにメディアもある程度煽動したのだと思いますが、それぞれ売り方とかキャラ付けが新御三家の面々にリンクしていた感がありました。

川﨑麻世さんは当時ジャニーズ事務所にいて、同じジャニーズ所属だった郷ひろみさんのような、美少年で中性的でありつつもエンターテイナーという感じ、太川さんは野口五郎さんのような陰りを含んだ美少年的な感じ(実はバラエティ適性があるところも同じでしたが…)、そして渋谷さんは西城秀樹さんのようなロック調の楽曲でオーバーアクションのパフォーマンスをして男らしさ全開、そんな感じでした。

あまりにキャラがリンクし過ぎたのか分かりませんが、まだまだ新御三家の壁は厚く、彼ら3人自身オリコンチャートに入る曲はあったものの、太川さんの「Lui Lui」(1977年発売。最高38位。6.3万枚)が6万枚売れたのが最高で、渋谷さんはなんといっても「Deep」(1978年7月発売。最高52位。4.0万枚)のヒットがあり、また枚数が最多なのは「標的」(1979年2月発売。最高49位。4.0万枚)がありますが5万枚には届かず、3人いずれも5万枚売れた曲が皆無というぐらい楽曲が商業的に成功せず、後に他方面へ転向していきますが、この時期はその末期の状態で、この曲が出た1980年にはオリコンチャート100位に入る事が出来なくなっていました。

まだ「たのきん」が歌の世界に登場する直前の頃であり、彼らに取って代わられたわけではありませんでした。(アイドルとしての露出が減ったのは確かですが…)
ちなみに渋谷さんは、田原俊彦さんより1学年下になり、早くに世に出ていた格好になります。昔小学生の頃、学習雑誌の付録でタレント名鑑みたいなのがありましたが、おそらく1982(昭和57)年初頭頃でしたが、渋谷さんの名前はあったものの、他の同年代アイドル(田原俊彦さんなど)や俳優(渡辺徹さん)の方が躍進していた感があり、当時ですら「あまり見なくなったな」と感じていたものでした。

 

●作家陣

陣といっても、単独の作詞作曲ですが、茂村泰彦さんというミュージシャンの方です。

元は再デビュー前の「サーカス」に在籍していた方で、「Mr.サマータイム」で再デビュー前に脱退したそうです。

 

●80年代初頭のロック×アイドル

先述の通り、西城秀樹さんの後継?と思わせるステージングで人気を博しましたが、この曲もその延長上の路線で、アイドルとロックの融合という感じの曲でした。

それも歌詞的に♪Summer ○○という感じでとにかく「Summer」が前面に出ている夏全開みたいな感じの楽曲で、渋谷さんの熱い歌唱とあいまったグルーヴ感のある佳曲といえます。
当時のタレントとしての人気もあり、なんでこれがオリコン100位にも入らないんだろうと不思議に思いますが、楽曲の売り込みとかそういう部分もある、いやむしろそういう部分の方が大きいという事でしょうか。時代に合うかとか、事務所やスタッフの売り込みだとか…。

まぶしすぎる「オマエ」を今度こそゲットするぜ的な、昭和の男性アイドルソングにはよくあるストーリーの楽曲ですが、歌詞に「Summer」の次に「おまえ」が多かったのも昭和ならではの感がありました。今じゃ職場でもろくに「おまえ」なんて言えないですもんね(笑) まさに隔世の感というもので。

 

●カッコいい間奏

個人的には詞に関しては、よくあるタイプの楽曲という感じで、特別に感銘を受けたとか正直ないのですが、この曲にたまらなくカッコよさを感じるのは歌詞カードの時間割にある18秒の「間奏」です。
アイドルソングにしてすごく「ロックのうねり」が感じられ、とにかくエレキが畳みかけてきて、この時代の最新鋭のロックサウンドが凝縮されてるんじゃないかぐらいのカッコよさがありました。まだ横浜銀蝿などが世に出る直前の頃でした。

この曲を聴く度、その間奏部分を鬼リピしてしまいます(笑)もちろん、この熱い歌唱も好きです。できれば歌唱パフォーマンスを全編動画で見たかったです。冒頭の一部動画でもその熱さは伝わりますが、相当激しいステージングだったんだろうなと想像します。

 

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